一日一歩のローグライクハーフ2/⑦火吹き獣

スネージ一族の長は、やはり迷宮で消息を絶ったらしい。ゴブリンの行商人がもたらした情報がふたりの足を速めます。
【4枚目】22:コビットの投石器使い(出現数:3、レベル4)

※本来は4枚目が固定イベントとなるのですが、プレイヤーがこの時点で3枚目だと思い込んでいましたので、ひとつイベントがずれています。ご容赦ください。

反応表:3=【歓待】

友好的な反応が出ました。内容を確認したところ、次に控える固定イベントと併せて処理しても良さそうです。

固定イベントでは、迷宮を探索しているゴープの兵士たちと出会います。

コビットたちと一緒にいたことにして、まとめて語ってしまいましょう!

【中間イベント】火吹き獣

[迷宮の歓待]

ここは今でこそ忌まわしき<混沌>が棲みつく迷宮だが、元は地下城砦だった。 白の魔法使いと呼ばれる強大な存在が、城砦を支配していた。

ゴーレムが塞いでいた広間は、往時にはロビーとして外からの客人を迎えていたはずだ。 その玄関先に冒険者を天井にめり込ませる罠が稼働していたのは、それだけ砦が本来の意味を喪っているからだと思われる。

ふたりは、ゴブリンの行商人が現れた通路へ入る。するとその先から思いがけず聞こえてくるのは楽しげな声。いや、歌だ。しかもエルフ語の。

「罠だろうか。エルフの歌にしては、とても快活な調べに聞こえるが」

とソール。

「わからん」

リヴにはエルフの歌などどれも同じに聞こえる。しかし罠であれ敵であれ、手がかりにはなるだろう。味方であれば僥倖だ。

果たして、次の広間で待ち受けていたのは小人たちと、火吹き獣を連れた兵士たち。それから床に「伏せ」の姿勢で休んでいる火吹き獣。

彼らは平和に鍋を囲んで宴会を開いていた。

リヴとソールの姿に気づくと小人のコビットたちは目を丸くして、

「やややこれは」

「おっきいひと」

「オークかもよ」

リヴの体躯に目を丸くした小人たちの遠慮のない言葉に、

「コビット君たち、それはちょっと失礼だね」

などと兵士が笑う。

怠惰が群れている、とリヴは軽蔑した。

その嵐の気配を察したのは兵士隊長で、焚き火を回り込んで近づいてくると、握手を求める。リヴは返さなかったが、ソールは馬鹿丁寧に握り返した。

「我が隊は初の迷宮哨戒でね。平原の突撃戦とは勝手が違うものだから」

よくよく見れば兵士たちには怪我人が多い。

「恥ずかしながら、ゴーレムが去るのを待っていた。あれに火吹き獣をぶつけるのは避けたかったのでね。君たちが来たということは、ゴーレムが正常な持ち場に去ったということか。それとも停止用の鍵を持っていたのかい?」

「壊した」

「は?」

「殴った」

「なんと?」

「殴って壊した」

目を白黒させる隊長と、それだけ言えばわかるだろうと思っているリヴの間にソールが割って入り、

「隊長殿、こちらの女戦士殿の言葉に嘘はありませんよ。私が保証します。鬼神のごとき殴打でした」

隊長は頭を抱えてしまった。兵士たちが興味津々、耳を傾けている。

ソールが事情を説明すると、

「なるほど、確か数日前にスネージの長とはここで行きあったが、しかし行先は頑として言わなかったな」

コビットがエルフ語で歌っていたのは、返答歌があるかと期待してのことだとか。彼らなりに心配しているのだ。

さて、先へ進むふたりを危惧して、兵士たちは火吹き獣を預けてくれることになった。

ひーちゃんです」

手綱を取る兵士が愛おしそうに説明する。

「責任感が強いから混沌の気配を感じたら迷宮を出たがらなくなって、実は困ってたんです。お願いします。彼女が納得するまで迷宮に連れて行ってもらっていいです。もし迷宮を離れて他の地に行かれるのであれば、ゴープの厩舎まで来てください。本当は僕だってずっと一緒にいたいんですけど、それだけの技量が僕には無いから」

悔しい、と言った兵士が手綱を握る手先には包帯がぐるぐると巻き付けられている。リヴの見立てでは、この迷宮探索任務で指を幾本か失っているのだと思われた。

ソールは頬を上気させて獣を撫で、

「ひー殿、以後よろしく頼む」

その名を臆面もなく呼べるのは強さか弱さか。悩むリヴであった。

火吹き獣! ゴープ地方のロマンの塊、火吹き獣です。これより先は戦う従者としてともに迷宮探索に挑んでくれます。

さて再びFT書房さんが公式に発表されている火吹き獣の情報をおさらいしてみましょう。

“ゴーブ市が錬金術師に創造させた新しい生物は、馬ぐらいの大きさで、長毛の犬に似た外見をしていた。
ずんぐりした巨大な長毛犬に似たこのクリーチャーには、龍の血が混ぜ込まれていた。”

“犬や馬のように人間に忠実で、戦士のように強く、炎を吐く獣。”

アランツァワールドガイド Vol.2 「混沌都市ゴーブ」 FT新聞 No.3765

人にも懐くようですから、モフモフ目当てで入隊した兵士が絶対にいると睨んでおり、そんな兵士さんに愛情たっぷり注がれた火吹き獣を想定して「ひーちゃん」が物語上に誕生しました。もうちょっとキリッとした本名があるはずなのですが、兵士さんは教えてくれなかったようです。

そんなわけで、迷宮から混沌を追い出して無事にひーちゃんをおうちに帰す、という目的も出来ました。

頑張るぞ、おー!